一畳日記

もうひとつの人間観

突然老いた猫がやってきた話

実家で起こった出来事について、覚えておきたくて綴ります。


先日、1匹の老いた猫が実家に入ってきたと母から連絡がきました。

田舎なので玄関のドアは開けたままということが多く、ふらっと入ってきたよう。

我が家は既にお犬さまがいたという事もあり、最初はその猫を追い出そうとしたそうなのですが、よく見るとガリガリに痩せて、毛も細く骨と皮のような様子だったそうです。

うちに入ってはダメよと軽く出そうとしても、よろよろと家に入ろうとする老いた猫の姿があまりに可哀想で、結局面倒を見ることになったらしいのですが、(お犬さまも特に文句を言わなかったらしい)

先に示したように病気を疑う容貌で、視力・聴力ともにあまり良くない状態でした。


猫は死の間際に姿を消すとよく聞いているだけに、何故実家へやってきたのか不思議でしたが、甘えて、鳴きながら母のトイレについてきたり、腕枕で寝たり、本当に可愛らしいおばあちゃん猫だったようです。

 

はい。過去形にしたとおり、そのおばあちゃん猫は、実家にやってきた約2週間後に亡くなりました。私は会ったこともないけれど、死というのは、やっぱり悲しいですね。

 

不思議な出来事だったので、色々と調べてみたところ、「死に際を悟って消える」というよりも、単に衰弱して家に戻れなくなって息絶えてしまっていたり、目が見えなくなって事故にあったり、ということかもしれないと。

そうか、それはそれで、悲しい。

そのおばあちゃん猫も、家に戻りたかったけれど、帰ることができなくて、やっとぬくもりにたどり着いて、それで安心して、眠りにつけたのだとしたら良いけれど。

 

猫は気分屋で、死に際は人目につかない場所を選んでいて、なんて言われているから、クールな印象が強かったのですが、その子が家に来てくれて、最後まで甘えていたと聞いて、とても愛くるしく思いました。やっぱりいのちはぬくもりを求めているのかな。